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人間であること。

「海と毒薬」を読んで溜息をついた。

内容は、大学病院で行われた米軍捕虜の生体解剖事件についてのお話。

一般的に病院って所は”人を助ける善意の場”だけど、

働く側からすれば”善意のみではやっていけない場”であるのが事実だと思う。

これは想像ではない。実際携わっていたからこそ、そう思う。

そんな時にいつも思うのは、個人が悪いのではなくそんな組織と

そんな組織に染まりきってしまう個人が終わっているのではないかということ。

組織に属せば、組織のルールがある。

その一員として、それを強いられる環境に馴染まざるを得ないのが現実だ。

それが社会人なのだと言われれば仕方がないのかもしれない。

かくいう私においても、

実際病院にくる人間の中には厄介な人がいるのも確かだし、

そんな場から逃げ出したいと思うことだって大いにあった。

環境や時間に追われて・・・と自分に言い訳をして妥協することもあり、

自分でも気づかぬうちに冷たい態度をとってしまったこともあったように思う。

でもそんな組織に属していた私でも、

人間(患者)に対して何も感じなくなるという事はなかった。

それは、人や人の死について何も感じなくなってしまえば、

人間としての自分が終わってしまうのだと強く思っていたからである。

その点においては自分の核なるものを崩さないで接してきたつもりだ。

だからこの本に出てくる医者の患者に対する気持ちについては到底理解できないが、

彼らのした行為が異常なのかと聞かれれば、

お医者の立場からすればそれが普通なのかもしれないのかな、と考えてしまう部分もある。

ただ誤解のないように書いておくが、すべての医師がそんな風ではないと思うので、

これは私が接していてこのように感じただけで、いち意見として書いたまでだということをご理解頂きたい。

たぶん作者もそのような気持ちや疑問を抱きながら、この小説を書いたのではないか。

そんなことを感じた。

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