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無口な奴。

奴はいきなり私の前に現れ、少し笑っていた。

そして、黙ったままじっとしていた。

いったい何者なんだ?

しばらく見つめてみたが、

奴が言葉を発することはなかった。

相変わらず黙ってたたずむ目の前の奴。

そんな無礼な奴を前に、いつもならここで怒りをあらわにしてしまう私だが、

今回は何かが違う。

不思議と腹は立たなかったのだ。

どうしてだ???

私はもう一度、彼のことをみつめてみた。

心地よい時間が流れる、

言葉を発することのない彼は、なんともいえぬ柔らかな表情で、またしても微笑んでいる。

だがそれでいて一瞬ツンとさすような、不思議な空気を持ち合わせていることは確かだ。

彼は目を引く黄色と黄緑の服を身につけていた。

センスの良し悪しは別として、

私には、それが彼にとても似合っているように見えた。

どうやら私は、彼のことを気に入ったらしい。

気づけば、夢中で彼をみつめていた、

そんなときだった、

「それかわいいやろ?」

そんな声が聞こえた。

聞き覚えのある声。

そう、妹の声だ。

ふと我に返った私に、

妹は追いうちをかけるように話し始める。

「それ信州のご当地キューピーやねんて。その中のわさびキューピー。」

昨日の夜の出来事だった。

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